第2ラウンド VS夕仁

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 その熱い視線に思わず一瞬固まる。しかし夕仁くんはすぐににっこりと笑ってみせた。 「どうですか? 今の演技」 「あ、やっぱり演技だよね、そうだよね。いつもみたいにパチンって爪の音が鳴らないからびっくりしたよ」 「今のはいいセンいってたみたいですね。僕、なんだか受かる気がしてきました」 「うん、頑張って!」  あたしは家を出ていく夕仁くんを見送る。その背筋はピンとのびていて、もういつもの自信がなさそうな猫背ではなかった。 「おチビだと思ってたけど案外やるねぇ、夕仁のやつ」  リビングから旭さんが顔をのぞかせた。 「盗み聞きなんて趣味悪いですよ。それにしても、夕仁くんの好きな人って誰なんでしょうね。ちょっと気になるかも。……って、勘ぐっちゃうあたしのほうが趣味悪いか」  旭さんが大げさに肩をすくめる。 「ピィちゃんは鈍感で困っちゃうよ、ほんと」 「何がですか?」 「わからないならおれが手とり足とり教えてあげよっか?」 「なんか五秒後に解雇のにおいがするので遠慮します」  リビングに向かう途中、あたしはもう一度玄関を振り返った。  ファイトだよ。ふたりとも。 (第2ラウンド VS夕仁  WIN!!)
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