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ダンボール箱がまるまるひとつ埋まるくらいの大量のオーナメントを大方外し終え、次に絡まったLEDライトに着手した。断線しないように気をつけながら丁寧にほどいていく。
「そういえば、ピィちゃん」
旭さんが振り返って声をかけてきた。大負けしているらしく、たくさんのカードを扇のように広げて自分を扇いでいる。
そうしているとまるで石油王の息子みたいな風格があるが、確認のためもう一度言う。大負けしている。
「今、第三回ピィちゃんバトルの最中なんだ」
「はぁ。今度は何をかけてるんですか」
「UNOで一抜けした人がピィちゃんの手作りおせち料理を食べられまーす」
だから人を景品にするなっつーの。
「今年の出勤日は今日が最後なので、おせちはつくりませんよ。お父様かお母様に作ってもらってください」
「父さんは帰ってこないし、母さんの帰省は一月一日から春高が終わるまでだからおせちは作らないよ」
「注文しなかったんですか?」
「した。けど、おれたちは手作りに飢えてる! なぜなら誰もおせちなんて作れない! 俺は王青杯で優勝したし、真昼は春高出場が決まったし、夕仁はすごい倍率を勝ち抜いてオーディションで合格したんだから、ピィちゃんの手作りおせちくらいのご褒美はほしいんだよ~」
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