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一番にあがったのは真昼だが、景品を受け取るつもりはないらしい。真昼が参加しないと張り合いが出ないのか、旭さんはピィちゃんバトルを終わりにしたようだった。
「あれ、誰かスマホ鳴ってませんか?」
将棋の準備をしながら夕仁くんがふとそう言った。
耳をすますと初期設定の着信音が聞こえてきて、あたしたちは顔を見合わせる。それから旭さんと夕仁くんがスマホを取り出して首を横に振った。
あたしは慌てて自分のカバンに駆け寄る。着信音はやはりあたしのスマホから聞こえていた。
「ごめんなさい。マナーモードにするのを忘れてました」
「電話でしょ。いいよ、出てきなよ」
電話はお父さんからだった。旭さんのご厚意に甘えて廊下で電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし。高橋さんの娘さん?」
電話口から聞こえてきたのは、お父さんの同僚だという知らないおじさんの声だった。その人の淡々とした説明を聞いてあたしは白目を向いた。
「お父さんが救急車で運ばれた!?」
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