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待ち合わせ場所は学校の最寄り駅の改札口だ。
電車を降りてエスカレーターに乗っていると、階段をおりてきた若い女の子数人組がきゃっきゃと黄色い声をあげながらお互いをつつきあっているのが見えた。
「ねえ、さっきの王子様系の男の子かっこよくなかった?」
「わかる~。でもわたし、真ん中にいた背の高い人のほうがいい。スポーツやってそう」
「ええ~。ウチはメガネくんかなあ。なんか母性わいた。余裕で産めるわ」
「お正月に男三人ってことは彼女いないんだよ。声かければよかったね」
あたしは額をおさえてうつむく。
いやまさか。まさか、だよね。
王子様系イケメン、スポーツをやっていそうな背の高い人、見ているこちら側に母性を抱かせるメガネ、男三人。
人違いであってほしいけれど、ここまで一致していて予想が外れるだなんていうことがあるのだろうか。
エスカレーターをのぼり、あたしは人ごみをぬって改札口に急いだ。目印の大きな柱のところにいる男子三人組を見て思わず床に膝をつきそうになる。
そこにいたのは案の定、真鍋三兄弟だったのだ。
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