第3ラウンド VS真昼

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「好きって言ったり言わないって言ったり、優しい言葉かけたりしないで。自分の気持ちがわからなくなる。あたし、真昼のこと好きにならないって決めてるのに」 「なんで?」  真昼があたしの手を絡めとる。 「なればいいのに」  もう負けだと思った。  どんなに自分に言い聞かせたって、どんなに否定しようとしたって、ほどほど好きの一線を越えてしまったらもう後戻りはできないのだ。 「宣言したそばから迫った、ごめん。離れる」  あたしは後ずさる真昼の手をぎゅっと握り返して引き止めた。 「ピィ子?」 「行かないで」  あたしが言うと、真昼は黙ってその場にしゃがんだ。あたしを見上げるその顔には得意げな笑みが浮かべられている。 「要するに、俺の勝ちだな」  そのまま真昼の手が伸びてきて、親指で乱暴に目尻の涙を拭われた。温かくてかさかさした手だった。
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