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「ひゅ~~~~~~~!」
あのあと、手をつないでいるところを戻ってきた旭さんと夕仁くんに見られ、問い詰められた。「答えるまで帰さない」と旭さんに自販機に壁ドンされた。まるで少女漫画みたいなシチュエーションだが、やっていることは自白の強要である。
それからあれよあれよという間にあたしは真鍋家へと連れこまれた。
絶対に話すまいと思っていたのだが、高そうな海老が入ったゼリー寄せ(アスピックというらしい)を出された瞬間あたしは陥落して、事の顛末をかいつまんで彼らに話した。
その結果がこれだ。
ローテーブルをはさんだ向かいで、旭さんと夕仁くんは床を転げまわっている。
何も食べていないのにざりざりと砂糖を噛むような咀嚼音をたてているのはなぜだろうか。
「なんですかそれ、甘酸っぱすぎます! 僕、演技でもそんな恥ずかしいこと言えません!」
「おれは、ふたりがおれにネクタイを届けに来てくれたあたりから怪しいと思ってたけどね。でも付き合った記念日が一月一日ってすごくおめでたいね!」
「いや、付き合ってはいない」
真昼がキッチンからポテリングの大袋をとってきて旭さんに手渡し、あたしの隣に座った。「旭兄さんはばらまくでしょ」と夕仁くんが隣から手を伸ばして袋を開き、ローテーブルの上に置く。
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