第3ラウンド VS真昼

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「待ってよ夕仁。あの母さんが認めてくれると思う? この世の人間を『メリットがある人間』と『ない人間』の二種類にわけて付き合うか決めるような人だよ?」 「じゃあピィ先輩が真昼兄さんにとってメリットのある人間だってことを母さんに示せればいいんじゃない?」 「どうやって?」  旭さんと夕仁くんが話し合っている中にあたしは割りこんだ。 「勝手に話を進めないでください。あたしはまだ真昼と付き合うなんて決めてません」 「言っとくけど、両思いだってわかって待てができるほど、俺はお利口なワンちゃんじゃない」  真昼がツンと唇を尖らせる。  両思い、という言葉が妙に生々しくてあたしは言葉に詰まった。  最初は人の話も聞かないし自己中でサイテーなやつだったけれど、いろいろなことがあるうちに、いつの間にか真昼が心から離れなくなっていた。  別の女の子とデートしているとモヤモヤするし、距離をとられると肩透かしをくらったような気分になる。電話は切りたくないし、会えば余計なことを言ってしまう。  もう認める。確かにあたしは真昼が好きだ。  でも、三兄弟との交際禁止という決まりがある。これを破れば即解雇なのだ。真昼と付き合うわけにはいかない。ここで真昼を止めなければきっともう後戻りはできない。 「安心しろ、ピィ子をクビにはさせないから」 「でも、そんなことできるわけが……」  その時、玄関のドアがガチャリと開く音がした。
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