第3ラウンド VS真昼

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 お母様が震えながらウィンドブレーカーの前を合わせ、「寒いわね」とでも言いそうな軽い口調で言葉を続けた。 「もしあなたに少しでも真昼への好意の芽が出始めているなら、今摘んでちょうだい。正直に言って、あなたと恋愛することで真昼がメリットを得られるとはとうてい思えない」 「メリットだけが、真昼の恋愛ですか?」  あたしは絞り出すようにやっとのことでそれだけ口にした。そのかすれて震える語尾を、「そうよ」とお母様がピシャンと叩き割る。 「メリットだけよ。じゃあ聞くけど、あなたはバレー選手としての真昼を理解して支えることができるっていうの? 次の世代の才能にまで責任を持てる?」 「それは」 「真昼のいる世界は、愛だの恋だのでふわふわしている間に置いていかれる。あの子には才能がある。無駄な時間を過ごしている暇はないの。理解してくれないのなら……」  その先は言わずともわかっている。解雇だ。 「とにかく真昼をフッてちょうだいね。こっちも優秀な家政婦を解雇したくはないから」  そう言うと、お母様はそそくさと家の中に戻っていってしまった。
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