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翌日、あたしは学校の最寄り駅に真昼を呼び出した。
改札口に現れた真昼は、黒のコーチジャケットに細身のパンツという、ちゃんと人に会うためのかっこうをしていた。制服でもジャージでもない真昼は少し大人びて見える。現に、通りすがりの女性の何人かは真昼を振り返ってひそひそやっていた。
「少し歩かない?」
あたしは真昼を散歩に誘い出した。
駅を出ると、線路沿いに細長いアスファルトの道が続いている。まわりには住宅街があり、しつけのなっていない犬のけたたましい吠え声が聞こえてくる。
あたしたちはその道を、学校とは逆のほうに向かってゆっくりと歩いていった。
真冬だけれど今日は太陽が出ているし風がないからぽかぽかして温かい。絶好の散歩日和だ。
真昼のほうが脚が長いため歩くのも速い。彼はいつものように歩き出したが、あたしを追い越してから急にそのことに気づいたように歩く速度を緩めた。
真昼と目が合う。
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