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普段は意識していないが、こうして改めて見ると真昼はかっこいい。旭さんや夕仁くんとはまた違うきりっとした端整な顔立ちだ。長身だから細く感じるが、よく見たらしっかりと筋肉がついたバランスのいいスタイルである。
少女漫画の王子様というよりは少年漫画の女子ウケのいいキャラみたいで、女子みんなから人気があるのもわかる気がする。
あたし、こんな人に好きって言われていたのか。そう思うと不思議な感じがする。真昼があたしを好きになったことも、それを今冷静に噛みしめている自分自身のことも。
「この前の、付き合うって話のことなんだけどさ」
「お、おう」
真昼はあからさまにそわそわしだす。
あたしはスキップするようにして三歩分、真昼の前に出た。振り返り、深く頭を下げる。真昼の顔は見ない。
「ごめんなさい。やっぱり真昼とは付き合えない」
「な、なんでだよ。あれか、交際禁止ってやつのせいか? そんなの俺が春高でベスト4に入ればいいだけの話で」
「こう見えてあたし、意外と寂しがり屋なの」
狼狽している真昼の言葉を遮り、あたしは考えていたその断り文句を口にした。
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