第3ラウンド VS真昼

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『何それ、ムカつくババア!』 「あんた、義母になるかもしれない人に……。とにかく、真昼のこと頼んだから。あいつが金輪際ふらふらあたしを追っかけ回さないようにちゃんと捕まえといてよ。心まで」 『でも、なんでわたしに頼むの? あんなひどいことしたのに』 「規格外の人間のことは、規格外の人間にしか頼めないっつの。ほかの子が真昼に中途半端に関わって、やっぱり無理でした~なんて別れたりしたらなんかムカつくじゃん」 『いい性格してるなぁ、ことりちゃんは。わたしとどっこいかも』  あやちゃんはひとつため息をついた。 『わたし、中一のときの部活見学で男子と間違われたの。背も高くてショートヘアだったから。そしたら、男バレの見学をしていた真昼くんがあたしを見て、女子だろ、って言ったんだ。それが真昼くんを好きになったきっかけ』 「どうしてそれを?」 『わたし、あんなことしたけど真昼くんを本気で好きだから。傷心中の真昼くんの心、ボールみたいにがっちり捕まえておく』 「うん、頼んだ!」  あたしたちは指切りをするように密やかに笑った。  真昼を好きだったばっかりに仲違いしたあたしたちだけれど、真昼を好きだったばっかりに仲直りできたのだった。
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