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トークルームが着信画面に切り替わる。既読がついたのを確認した一川さんたちが電話してきたようだ。
「もしもし」
『ちょっと、高橋さん!』
電話に出るなり金切り声で名前を呼ばれ、あたしは思わずスマホを耳から少し離した。
「なんでしょーか」
『動画見たでしょ。せっかくバレー部の練習の見学に来たのに、わたしたち、あんなふぬけた真昼さまが見たかったわけじゃないっ』
『どうせ高橋さんが何かしたんでしょ? 最近の真昼さまは怒るのもご機嫌なのも全部あなたのせいなんだから』
『かわりに木下さんが真昼さまの世話を焼いてるし……責任とってどうにかしなさいよ』
『お前ら、今、高橋さんと電話してるのか!? かわってくれ!』
電話口から別の声が聞こえて、スマホを落としたようなものすごい音がした。
『俺だよ、俺』
「誰ですか」
彼が名乗ってようやく顔が思い浮かんだ。文化祭前にあたしに話しかけてきたあの一際背の高いバレー部の男子だ。彼の後ろにはほかのバレー部員もいるらしく、人ごみの中にいるかのように背後が妙にがやがやしている。
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