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あたしは手紙を握りしめたまましばしその場で立ちつくした。電車が駅に止まり、大勢の人がおりて席があいてもそこに座ろうとは思えなかった。
けじめという言葉が生々しく胸にのしかかっている。
あたしは真昼をフッて、恋を終わらせた。
真昼はちょっと落ちこんでいたみたいだけど、吹っ切って、その終わった恋にけじめをつけようとしている。
頭ではわかっていたけれど、心が追いつかない。
けじめをつけられるのが、真昼にとって過去の人間になるのがすごく怖い。自分でフッたくせにこうしていつまでも引きずっている、そんな自分が醜くて大嫌いだ。
目の前を流れていく夜の町がにじみだすのを、あたしは止めることができなかった。
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