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一月七日、午前中で学校が終わり、あたしはまっすぐに真鍋家へと向かった。家政婦のアルバイトの仕事があったからだ。せっかく真昼にチケットをもらったものの、応援には行けそうになかった。
居間ではお母様がタブレット端末を覗きこんでいる。上ずった実況の声がバレー用語を連呼し、それにかぶさるように歓声があがっている。どうやら春高バレーのネット中継を見ているようだ。
「直接会場には行かないんですか?」
「応援するために見てるわけじゃないもの。こっちのほうが見やすい」
あたしが尋ねると、お母様は手元のメモをあたしに軽く掲げて笑った。そこにはびっしりと真昼のプレーに対する指摘が書きこまれている。
あたしは曖昧に笑って仕事に戻った。
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