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ふと画面に目を落とす。うちの高校側の背番号五番が目に止まり、あたしは言葉を失った。
真昼は膝に手をつき、肩で息をしている。隣にいたメンバーに声をかけられて真昼は顔を上げるが、その顔は明らかに平熱ではないほど赤い。おまけに左手の薬指と小指は包帯でぐるぐる巻きになって固定されていた。
「真昼、どうかしたんですか?」
「ほら、真昼はよく熱出すって言ったでしょ。いつもの発熱と、あと突き指。……気になる?」
「い、いえ。聞いただけです。お大事にって伝えておいてください」
あたしが踵を返して玄関から出ていこうとすると、カバンをぎゅっと掴まれて引き止められた。今度は夕仁くんだった。
「ピィ先輩の意思を尊重するって言ったけど、これだけは言わせてください」
夕仁くんが一歩ずいっと前に出る。
「先輩にフられて、真昼兄さんは最初は諦めようとしてた。でも、文化祭前に先輩に嫌がらせしてた人……木下さんが全部真昼兄さんに伝えたそうなんです。母さんが真昼兄さんとの約束の一方で先輩に圧力をかけていたことを。だから真昼兄さんは頑張るって決めたんです」
「そうだよピィちゃん、真昼からチケットもらったでしょ?」
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