第3ラウンド VS真昼

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 そう宣言して、あたしは真鍋家を飛び出した。  カバンに突っ込んでいた真昼の手紙からチケットを引っ張り出す。今、第一セットの半ば。今から会場に向かっても試合終了に間に合うかどうかは微妙なところかもしれない。  駅まで走って電車に駆けこむ。窓の外を流れていく町を見ながら、あたしはブラウスの胸元をぎゅっと掴んだ。  電車じゃあまりにも遅すぎる。あたしはドアをこじあけて走り出したい気持ちだった。あたしの心は、電車よりも、新幹線よりも、音速よりもずっとずっと速く真昼のもとへ走り出していたから。  最寄り駅でおりてすぐに会場の体育館に向かった。受付の人にうちの高校の試合はまだやっているか尋ねたら、両校の実力が拮抗しているから第三セットまでもつれる大混戦になっていると教えてくれた。どうやら間に合ったみたいだ。  しかし、ここからが問題だった。  階段をのぼって応援席のあるフロアに出て、あたしは頭を抱えた。 「会場でかすぎない!?」
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