122人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
現在、第三セットの後半だ。二十三対二十二で相手高校がリードしているが、一点差のためどちらが勝つかわからない状況だ。
うちの高校が一点決めて同点になる。ここが正念場だろうが、運の悪いことに真昼にサーブがまわってきてしまった。
真昼は熱と突き指のせいでふらふらだった。エンドラインの後ろに立ってボールをじっと見つめているが、精神統一しているのか熱で頭がぼーっとしているのか傍目にはわからない。そんな真昼の様子に、観客席では頭を抱えている人もいた。
波が引くように応援団の声が静まっていく。あたしはいてもたってもいられず、観客席の最前列まで駆けていって大声で叫んだ。
「真昼、頑張れ!」
その瞬間、真昼がこっちを見たような気がした。でもすぐに審判が笛を鳴らし、真昼がジャンプサーブを打った。
ボールは一直線に相手コートに飛んでいくが、リベロが綺麗に回転を殺してセッターの手元に返した。ボールが高く上がり、相手高校の一番の人がそれを打つ。ボールがこちらのコートに落ちる。
最初のコメントを投稿しよう!