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真昼が風紀委員に捕まっている間に逃げていると、黄色い悲鳴が聞こえた。女子の集団の向こうから旭さんと夕仁くんがやってきたのだ。
「やっほーピィちゃん」
「こんにちは、ピィ先輩」
「ふたりとも。どうして二年生のフロアに?」
「今日はピィちゃんにいいこと教えてあげようと思って」
旭さんと夕仁くんが顔を見合わせ、くすくすと笑い始める。
「ピィ先輩を解雇するって言ってた母さんを、真昼兄さんがどうやって説得したかわかりますか?」
「さあ」
「先輩のこと、マッケンに愛してるって言ったんですよ」
あたしは思わずズッコケた。もしかして真剣って言いたかったのか?
「母さんは怒る気も失せちゃってそれっきり。結局真昼兄さんが母さんから贔屓されてるのは、バレー云々より『バカな子ほど可愛い』ってやつなんでしょうね」
「あたし、これから真昼と恋愛していく自信失せたわ……」
旭さんがふふっと笑う。
「まだまだ乗り越える障害も多いけどきっと大丈夫だよ。出会ったばかりの頃、ピィちゃんはおれらに言ったよね。『愛なんかで飯は食えない』って。そんな現実思考もアリだけど、たまには愛に夢見てもいいと思うよ。隣で一緒に夢見てくれる真昼がいるんだからさ」
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