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「こんにちは、高橋です」
ドアを開けるなり目に飛びこんできた光景に、あたしは言葉を失った。玄関を入ってすぐの廊下が水浸しになっていたのだ。
水浸しといっても水筒やコップの中身をこぼしたというわけではなさそうだ。全体的に均一にビチャビチャになっているその有様は、小学生の頃の掃除の時間を思い起こさせた。クラスにひとりは必ず、雑巾をきちんと絞らずに拭き掃除をする人がいたっけ。
「どうだ」
声が聞こえてあたしは顔を上げる。リビングのドアの隙間から真昼がこちらをうかがっていた。その顔は妙に得意げである。
「真昼、部活は?」
「テスト前だから今日はオフだ」
「ふうん。ていうかこれあんたの仕業?」
真昼はそれには答えずにニヤニヤしながらリビングにひっこんだ。
例の嫌がらせだ、とあたしは確信した。
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