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とりあえず水気を拭き取らなければならない。乾いた雑巾を探しに行こうとしたら、脱衣所のほうから爆発音が聞こえた。
靴下の裏が濡れるのも構わずにまっすぐに脱衣所まで走れば、まわした覚えのない洗濯機が明らかに正常ではない音をたてて紫色の泡をふいていた。
「何これ、いったいどう使ったらこうなるの!?」
慌てて運転停止ボタンを押す。洗濯機をあけると刺激臭のする煙がもうもうと出てきた。洗濯機の中には、なぜかパンツが、それもド派手な柄のものばかり十枚も二十枚も入っていた。
ばたばたと去っていく足音が聞こえて振り返る。足元しか見えなかったがスリッパの色からして真昼だ。
つまり、これは、洗濯機を破壊することによって大量の洗濯物をあたしに手洗いさせようという真昼の悪質な嫌がらせなのだ。
しかし、どんなに腹が立っても職務放棄して帰るわけにはいかない。
脱衣所と玄関前の廊下を掃除してから、あたしはキッチンの入り口をコーンフレークの入ったダンボール箱で封鎖して料理を始める。
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