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砕けたじゃがいもと食器用洗剤を抱えてびしょ濡れで帰ってきたあたしたちを見て、旭さんと夕仁くんは目を丸くした。
「何がどうなるとそうなっちゃうの?」
そんなのあたしが聞きたいくらいだ。
夕仁くんがタオルを二枚真昼に手渡すと、真昼は自分のことはそっちのけであたしの頭にタオルを乗せてきた。抗議する暇もなく、犬や猫の毛を乾かすように乱暴に髪の毛をもみくちゃにされる。
「よし、乾いたな」
よし、乾いたな、じゃないっつーの。
ボサボサになった髪の毛を手グシで整えながら真昼を睨む。
「あれ、真昼、随分ピィちゃんに優しいんじゃない? この前まであんなに『高橋が家政婦なんて認めない』って言ってたのに」
旭さんがソファに転がってテレビのチャンネルを変えながら茶化した。真昼がよくぞ聞いてくれたと言わんばかりのドヤ顔で旭さんを振り返る。
「まあな。実は俺たち、両思いなんだ」
旭さんがテレビのリモコンを床に落とした。その拍子にリモコンの裏側の電池カバーが外れて転がっていく。水を飲んでいた夕仁くんがゲホゲホとむせる。
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