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旭さんの手から逃れ、あたしは水道と衝動の蛇口をきゅっとしめた。出かかった抗議の言葉を全部飲みこむ。
こういうのは嫌がって逃げようとすればするほど追いかけてくるものだ。だったらあたしのするべきことはひとつしかない。
「あーすごいすごい。三人ともすごいじゃないですか」
バトルはそこで引き分けとして終わったはずなのに、翌日から地獄のような日々が始まった。
旭さんや夕仁くんはまだいい。旭さんはたびたび「付き合ってよ」とちょっかいをかけてくるものの、あたしが受け流すとそれ以上は迫ってこないし、夕仁くんはただ人生経験がしたいだけであたしに興味があるわけじゃないからだ。
問題は真昼だった。
週三回しか顔を合わせないふたりと違って真昼は同じクラスだから毎日会う。さらに悪いのは、真昼がいまだにそのバトルに本気になっていることだった。
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