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「こんな象印とタイガーのハーフみたいなやつと仲良くしてくれてありがとな」
誰が瞬間湯沸かし器だ。
「いえいえ、そんなことないですぅ~」
「真昼さま、今度一緒にカラオケでもいかがですか?」
「ピィ子とカラオケ……いいな……。うん、行くか、みんなで」
一川さんが真昼に聞こえないように舌打ちする。その「みんなで」にあたしが含まれているのが気に入らないらしい。
「ちょっと何勝手に決めてんの。あたし行かないから」
「何言ってんだよ。友達の友達は友達。つまり、ピィ子の友達は俺の友達だろ」
「そもそもあたしとあんたは友達じゃない!」
「そうだよな。『友達』なんかじゃないよな……」
真昼は頬を赤らめながら後頭部をワシワシかいている。何を考えているのか知らないが、友達じゃないというのは友達未満という意味だと本当に正しく伝わっているのだろうか。
「それよりも、こんなところにいたのかよ、ピィ子。探したぞ」
真昼がいきなりあたしの手首を掴んだ。ンナァッと女子三人組が奇声をあげるが真昼は聞いちゃいない。
「ピィ子に見せたいものがあるんだ。来いよ」
強い力で手を引かれる。どうやらあたしに拒否権はないようだ。去り際に、女子三人組が妙に明るい声で「高橋さん、またね」と言っているのが聞こえる。後でどんな目にあうか想像しただけで鳥肌が立った。
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