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真昼は校舎に戻り、特別棟の階段をのぼっていく。教室がある本校舎と渡り廊下で繋がっているのは一階と二階だけだが、真昼は踊り場をまわってさらに上を目指し始めた。
三階、四階を過ぎ、それでも立ち止まらない。真昼はいったいどこへ向かっているのだろう。
この先にはもう鍵のかかった屋上しかないというのに。
「ちょ、ちょっと、真昼!」
しかし真昼はうんともすんとも言わない。ずんずんと階段の一番上までのぼると、屋上に出るドアのノブをひねった。鍵がかかっているはずのドアはいともたやすく開けられ、急に目の前がひらけた。
生ぬるい風が汗のにじむ首元をなでていく。
真昼の歩くスピードに合わせて半ば走るようにここまでやってきたあたしは、肩で息をしながら屋上を見渡した。
あたり一面コンクリートの地面が広がっている。普段鍵がかかっていることはこの学園の人間なら誰でも知っていることだから、当然ながら誰もいない。校則に立ち入り禁止と明記されているわけではないが見つかったら間違いなく怒られるだろう。
あたしは真昼に詰め寄った。
「まさか、ドア、壊したの?」
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