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「ダメだろ!」
真昼が旭さんとあたしの間に割って入ってきた。危うくふたりがキスしそうになり、旭さんがすんでのところでのけぞって避ける。
真昼はあたしのほうを向いて、旭さんを勢いよく指さした。
「俺という本命がありながら浮気なんかするなよ。よく聞け。こいつは確かに顔も人当たりもいいけどプレイバックだ」
「ハァ?」
あたしが聞き返すと、真昼は小馬鹿にするように鼻で笑った。
「遊び人って意味だよ。もしかしてピィ子、英語苦手か?」
それを言うならプレイボーイでしょうが。
「旭には曜日ごとに日替わりの七人の彼女がいる。だいたい三ヶ月スパンでポイだ」
「七股で、飽きたらポイ……って、ホントですか」
あたしはそっと目線をあげて旭さんをうかがった。
「いやいや、おれはポイされる側。でもみんな同意のうえでの七股なんだよ? 下は同い年から上は六十歳まで。自慢じゃないけど、おれ、ストライクゾーンが広いんだよね」
旭さんは椅子に腰をおろし、ポケットから出した紙くずを指でちぎりながら答えた。細かくなっているからすごく多く見えるが、よく数えれば全部で七つしかない。七人という言葉の印象以上に旭さんの彼女が多いのだと実感させられる。
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