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保護者でも彼女でもバレー関係者でもないのにどうしてあたしが真昼のインターハイの応援になど行かないといけないのか。
それも、お弁当を持って、だ!
「どうぞおふたりで行ってきてください」
「えーっどうして?」
「部活の応援は家政婦の仕事じゃないので」
「じゃあ友達として来てよ!」
「今日はバイトの日です。家事しないとお給料泥棒になっちゃいます」
ふたりの間をすり抜けて家にあがろうとした瞬間、旭さんがあたしの右腕をがっちりとホールドした。続いて夕仁くんがあたしの左側にまわって腕をからめてくる。ふたりともひょろっとしているのに意外と力が強い。身をよじってもびくともしなかった。
ふたりがアッハッハとわざとらしい笑い声をあげる。
「いいの、おれたちにお弁当作りなんかさせちゃって?」
「さっき、生卵をレンジでチンして爆発させたところです」
あたしはそのままずるずるとキッチンまで引きずられていった。
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