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あまりの名案に稲妻が走った。
そうすれば僕も孤独から解放され、奴等に見下されもせず、彼等も僕にご祝儀を払う必要が出てくるので、ご祝儀の差し引きはプラスマイナスゼロだ。
全てが解決する。
僕は婚姻届を貰いに、役所へ走った。
家に戻り、意気揚々と必要事項を記入した後、気が付いた。
……相手が要る。
ひょっとしたら婚姻届さえあれば何とかなるのではないかと、よくわからない勢いのもとに期待していたが、やはり相手方の記入も必要だった。どうやら1人で結婚できるほど、まだこの世の中は進んでいないようだ。別に結婚くらい1人でも問題ない気もするが、法的に認められていない以上、誰かに書いてもらう必要がある。
できれば1人で完結させたかったが、どうしようもない。僕はお付き合いしているナスヨさんにお願いすることにした。
ナスヨさんに電話をすると、一拍置いて、電話が繋がった。
「あのさ、急で本当に申し訳ないんだけど、結婚してくれないかな」
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