Loose

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そこに居たのは、男の人二人。 見た目年齢はすごく若く見える。20代後半から30代前半といったところだ。 二人ともすごく美形で、一目でアルファとオメガの夫夫だと分かった。 「瑠羽くん?」 柔らかく微笑んだ綺麗な人が、僕の名を呼ぶ。 真っ黒い髪と真っ黒い瞳、それに白い肌が僕と同じだった。 瑠泉と瑠風は色素が薄くて茶色い髪に茶色い瞳だ。 ああ、僕はやっぱりこの人たちの子なんだ。 大丈夫だと思っていた僕の心にこみ上げてくるものがある。 視界が歪み、涙が溢れてくる。そんな僕をその人はやさしく抱きしめ、さらにその上からもう一人が抱きしめてくれた。 血は水よりも濃かった。 それから一時間ほど家族だけの時間を過ごし、全員での対面となった。 僕の本当の両親は僕に怒ってなどなく、ひたすら会えたことを喜び、まだぎこちないまでも今までの話をすることが出来た。 向こうでも、子供に対する違和感があったらしい。なぜなら、似ていない容姿に加え、第二性がベータと診断されたからだ。 アルファとオメガのカップルの場合、高い確率で生まれるのはアルファかオメガだ。ベータも生まれなくはないけど、違和感を持っていた所へのその診断に疑問が大きくなったのだそうだ。だけど、だからといって子供への愛情に翳りが出る訳じゃない。むしろ今回ちゃんと分かって良かった、と母と同じことを言った。 この人たちからもまた、子供への溢れる愛情が伝わってきた。 僕は会えて良かったと心から思った。 瑠泉と瑠風が、思いきって行動してくれたからこそ、今この時間を過ごすことが出来たのだ。 二人ともありがとう。 その後合流した向こうでも同じだったらしく、母の目も赤くなっていた。 そして改めて、全員での自己紹介になった。 初めて会った向こうの子は驚くほど瑠泉と瑠風に似ていた。ベータのためか背は二人ほど高くは無いけど、全体の雰囲気がとても似ている。 茶色い髪と茶色い瞳だ。 テレビの中でこんなに似てる人が出てたら、自分と何か関係ある人だと思うよね。 きっと瑠泉と瑠風のデビューは子供に対する違和感に拍車をかけたのだろう。だって同じ日に同じ病院で生まれた子供が三つ子だって言うのは、きっと知っていただろうから。 でも僕達は自然とお互いのポジションをかえ、今までの家族の元に戻った。そして僕達は初めて言葉を交わす。 少し話しただけでもとても愛されて育ったのが分かった。 良かった。ちゃんと幸せそうだ。 その後食事を交えながらお互い交流を深め、戸籍は戻すけど、家族の形は変えないことを再確認し、その日は別れた。
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