【Chapter1 カポ】

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【Chapter1 カポ】

 雨がシトシトと降り注ぐ……それは余計な音を覆い隠すような小さなノイズ。濃霧に占拠された都市からは、ビルのスカイラインがとうに消え去りスチームパンクな気配が立ち込める。  そんなエフェメラルな雰囲気がよく似合う寂れた路地裏では、今まさに儚い運命が終息へと歩を進めている最中であった――  路肩に止まる黒塗りの車。中途半端にドアが開け放たれ、そこから路地の奥へと絵の具が垂れ流されたかのような道が作られている。  その溶かされゆく赤き道の終着点で、俯せに横たわる三つ揃えに身を包んだ男は憎々しい声色で口を開いた。 「くっ……なぜだリノ。自分が……自分が何をしてるのか分かっているんだろうなッ……!」  身を震わせ起き上がろうとするが……脚部と腹部が被弾した身は思うように動かず、ベシャリと虚しく音を立てるに終わった。  それを見下ろしながら、再び銃口を向けるリノはアンニュイな様子で言う。 「ああ、もちろんだミケーレ……んなもん分かってるさ」 「そうかっ、ふははは……そうまでしてカポの座につきたいようには思えなかったがな。こりゃいったい……どういった風の吹き回しだ、ええ!?」
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