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本来なら実際にライブをする予定だった。だから、チケットを持っていた人のうち、かなりの割合の人は見に来てくれてるだろう。逆に見に来られない人や、配信なら見ない派の人もいるだろう。でも、遠方だとか時間の都合で来られなかった人や、ソールドアウトで涙を飲んだ人が参加出来る。テイクワンでのワンマンが成功してんだから、合計は恐らく少なくとも1000だ。それに加えて、初見を呼べてる。
「そうだね……絶対に、越えると思う」
礼華の唇の端がきゅっと上がった。ニヤリと笑ったようにも見える。そうだろ、もうビビる段階は越えたよな。こっからは、楽しめ。来てるこいつらを帰らせねぇだけだ。
「……夕」
「うん?」
礼華は俺の顔を見て、にっこり笑った。
「舞子さんから、実家に、今日の配信を見るように、伝えてもらったよ」
「マジか」
俺は礼華でいる、って言い切ってた。それはこいつの所信表明だった。でも、その時はこいつの中でだけの決意だった。それをちゃんと、家族にも伝える腹を決めたのか。
「宵闇さんが……お前自身がお前だ、って。最初に言ってくれたんだ」
それは当たり前のことだ。でも、案外忘れがちなこと、だよ。
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