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 明るくなった画面には、世界一カッコいいヴィジュアル系野郎が5人、現れる。  待たせたな、ベルギャさんたちよ。ベルギャ候補生もよく来たな。  俺らが、あのベルノワールだ。  目ぇかっ開いてよく見ろ。耳かっぽじってよく聴け。これはライブだ。暴れろ。  メロディアスな歌詞は、甘くて切ない。でも、曲はそんなことにはお構いなしでハリケーンみてぇに突き進む。  感情の嵐に翻弄され、戸惑う綺悧が泣き叫ぶ。  その叫びに応えるように、僅かに緩やかになる潮流。  何故愛してくれない。愛してくれないなら殺すしかないのに。訴える綺悧を嘲り、蹴り飛ばす大サビ。  哀しみに満ちた絶叫が全てを打ち壊し、籠の鳥は終焉を迎えた。  一つも戸惑うことなく、無事新曲終了。ここに集中しただけあって、俺以外のメンバーにも躊躇は感じなかった。相変わらず本番に強いヤツらだ。モタりぎみで慎重さが見えてた大サビの入りも、ちゃんと勢いを付けて駆け上がれてる。  何より、ステージングがいいじゃん。  俺はドラムセットに固定、宵闇は地蔵がデフォルトだから動けねぇんだけど、ギター組と綺悧はいつも通りに動き回ってる。
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