(一)ー2

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(一)ー2

*  和希が目を覚ます。陽の光を感じながら、彼はうっすらと目を開けていく。 (…昔の夢、か)  被っていた布団を退け、上体を起こした。  子どもの頃の、自分が妖怪の呪いを受けた時の記憶。それを夢として見た。和希にとって最悪の朝だ。 (顔…洗おう)  和希はベッドを降りて洗面台に向かう。  六畳ほどあるこの部屋は祓魔庁討伐隊第四課の男子寮の一室である。部屋数自体は多くないものの、金銭に余裕のある隊員は近くのアパートを借りていたり、実家から通っていたりなど、寮を必要としない隊員も多く、運良く和希は寮を使えている。正直実家は遠くはないのだが、親戚が多く出入りする実家は、和希自身の事情を考えても居心地の良いものではなく、高校も寮からの方が近いという事で入庁時からこの部屋に住んでいる。  和希は多めの水を手で掬い、顔を濡らす。ふと顔を上げて鏡に映る自分の目を見た。  何も変わり映えの無い目。しかし自分の目は普通では無い。代々祓魔師の家系である倉林家の先祖には千里眼の鬼がいて、和希はその先祖返り。生まれ持った妖力が少ないため、万能では無いが、千里眼の能力を扱える。  しかし、普通ではない事が、この目にはもう一つ。  和希は妖怪の呪いを持っていた。
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