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そんな私、榛名芽衣(はるな・めい)に、年下の彼氏ができたのは3ヶ月前のこと。
半分諦めながら、しかしながら残る半分の期待は捨てきれずに参加した合コンで、私のことを気に入ってくれたのが、彼――春樹くんだった。
「名前がちょっと似てますね」なんていう話題から始まり、連絡先を交換して、それなりに会話も盛り上がって、楽しい気持ちのまま帰宅したあとすぐに食事の誘いがきたのだ。
食事の誘いをもらえたことはとても嬉しかったのだけれど、私の中には多少のためらいもあった。
というのも、私はこんな体質だし、相手は3つ年下だし。
合コンではすごく興味ありげに話しかけてくれたけれど、でもこのまま誘いに乗って良いのだろうか。
春樹くんは爽やか系のシュッとした顔つきで気配り上手。
趣味はフットサルで、休日には友達とチームを組んで、大会に出場しているのだそう。
見た目も中身も異性に困るような人ではないのに、なぜ私のことなどを気にかけてくれるのだろう。
そんなことを思い始めると、次から次へと不安要素が沸き起こってきたのだが、こんなチャンスはもう2度とないのかもしれないとも思い、私は思い切って彼の誘いに乗ることにした。
すると、あれよあれよという間に事が運び、5回目のデートで彼から交際を申し込まれたのだ。
同じ間違いを犯したくない私は、一応冷静になって考えた。
これは果たして本当にラブなのか?ライクではないのか?
恋に恋している状態じゃないか?
彼のことが“本当に好き”だと言えるか?
超高速で自問自答を繰り返したけれど、私の中の春樹くんに対する想いは1つもブレることはなかった。
彼への想いは誤解じゃない。錯覚じゃない。
その証拠というわけではないけれど、「私でよかったら」なんていうありきたりな返事の後に交わしたキスは、全然嫌じゃなかったのだ。
その後は、恋愛の幸せがぎゅっと凝縮されたような日々が続く。
付き合い始めて1ヶ月ほど経った頃に体の関係を持ったが、セックスってこんなに幸せなものだったっけ?と、自分でも驚くほどにドキドキした。
急な残業で会えなくなったと連絡があった日も、「ごめんやっぱり会いたくなった」と言って会いに来てくれた。
私が作るご飯をおいしいと言ってくれた。
お互いにお酒が好きだから、お酒を目当てに食事デートに出かけたりもした。
ただ一緒にいるだけで楽しい。幸せ。そんな気持ちを、初めて知った。
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