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憧れの人物というものがいる。顔よし、音楽よし、歩んできた人生よし、文学の才能よしとサブカルという一大分野において最強の人物がいる。大槻ケンヂである。名前にヂが入っているのがこいつはそんじょそこらの奴とは一線違うなと思わせる。筋肉少女帯のボーカルにしてギターの弾けないギタリストでもありエッセイストであり奇想天外な小説家である電波系の始祖的な人だ。頭にアルミホイルを巻いたらいいという、電波な話の中で鉄板なネタがあるが、オーケンのぐるぐる少女という小説が最初である。(実際そういった統合の症状でそういう思い込みをしてしまう人がいたのが発想のきっかけだろうが)
少女たちがなすすべなく惨殺されるシュールなものもあれば、超幻想的でロマンチストな話を恥じらいも書くなど小説の系統はブレブレで、ほんわかとしたエッセイもサラサラと書いている。頭の中の想像力が人一倍強いのと純粋にオカルトなどが好きなんだろう、オーケンはいろんな本を読んで世界観を自分のものにしている。特に引用することが多いのは江戸川乱歩だ。探偵、事件、怪しげな少女、気が狂っている連中。乱歩の作品は孤島の鬼くらいしかまともに読んでいないがオーケンが心酔しているだけあり、中々にイかれた構成になっている。やはり物語はぶっ飛んでなんぼだ。好きだと言い合って抱き合いキスした若者たちがページを捲れば惨殺されていた、そんな常人が発想しうるすべての展開を易々と超えていく作品こそ文学に残すべきである。即急に芥川賞でも直木賞でもくれてやってほしい。長ったらしく回りくどい文が好きになったのは完全にオーケンと舞城と森見の影響である。
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