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多くのハーピーがエルフの森に沈んだ事を考えれば、彼らの心情を察することは容易い。ハーピーの王に会うと提案したヒト族と共に交渉に臨むエルフは初め一人もいなかった。それはエルフがハーピーの領地に踏み入れれば、どんな結末を迎えるかは想像に難くなかったからである。
当時のエルフの王族や貴族階級の呼ばれる領地を持つ者たちは保守的な者が多かった。そんな中で、声を上げたのは名もなきエルフとダークエルフだった。
王も貴族達も名も知らぬエルフと種族の違うダークエルフに興味はないようで、大きな損失もないだろうと快諾することとなる。
一部のエルフ達からは、ここで失敗すればヒト族の力を削る事ができればと考える者もいた。
ヒト族とエルフ、ダークエルフの3名は国の援助を受けてハーピーの土地を目指すこととなる。名もなき3名は各々の事情を抱えていた。ヒト族はエルフからの信頼を完全に得ているわけではなく、ハーピーとの交渉でさらなる安定を望んでいた。エルフは家名もなく地位を望んでいた。ダークエルフは同行するエルフの奴隷として表面上は扱われていたが、ハーピーの土地より北東にある故郷への帰還を企んでいた。ダークエルフは迷いの森で、エルフに助けられたことをきっかけに表面上は奴隷として生活していたが、内情は違っていた。
エルフの名はエリアライト、後のエリアライト・シルランド。ケイトとミーナがキラキラと呼んでいたエルフの先祖に当たる。この時代には珍しく無かった様だが、彼もまた常に加護の光を放ち続けていた。理由は加護の量が多かっただけではなく、一種の病気とも言われている。加護の調整が未熟と揶揄する者もいたが、コントールできていれば絶対量は王を凌ぐとも言われていた。
ただし、病気と言われるように加護を使えばあっという間に疲労する体質であり、そんな彼を補うようにダークエルフはいつも近くにいた。ダークエルフの名はカーサ、加護の絶対量はエルフを上回っていたようでその力を彼に流しているようだった。
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