第40話「家族②」

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「由一、お前は俺の恩人だ。今は家族が大切だが、家族に会えたら、それからはお前の事も家族と同じくらい大切にしたいと思ってる。だから、何か俺にできることがあったら迷わずに頼ってくれ。」 「浩太…お前はいい奴だな。」 次の日。年が明けた元旦の未明。浩太は千鳥の部下とともに台湾へ向かった。それから更に数時間後、空が明るんで来た頃、俺達が乗る船はついに日本を視界にとらえた。 「由一さん、いよいよっすね。本当にやるんすか?」 「当たり前だ。支部長はまだ寝てるな?」 「はい。」 「この船にはさっき浩太が乗って行った小型船の他にも小船が積んであるな?」 「ありますけど、救命ボート代わりっす。この距離から日本を目指すともしかしたら転覆するかも。」 「命をかければいいだけだろ。」 「まじっすか…由一さんとならいいですけど。」 「ありがとうよ。計画だが、まずは今寝ている支部長を拘束する。死なれたら可哀想だから近くに飲み水と簡単な食べ物くらいは置いておいてやろう。」 「了解っす。」
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