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1晩経過した。
留置所に見知った顔の女が面会に来た。
「由一さん。なにやってんすか。取引はどうすんだって支部長かんかんっすよ。」
「元気そうだな千鳥。代わりにお前が行ってきてくれ…と言いたいところだが、ずっと連絡をとっていた俺としか取引はしないと頑なに言ってた。」
「そうっすよ。番号は知ってるんでウチもかけてみたんすけど、ずっと拒否るんすよ。」
「だろうな。用心深い奴だ。俺は無実だが証拠をでっちあげられてる。後で無実が証明されるにしてもそれは取引の日付より後の話だろうよ。事情は話してないだろうな?」
「もちろんっす。言ったら取引がなくなるっす。で、ウチらはどうすりゃいいっすか?」
「証拠品を返してもらうには俺が顔を見せるしかない。どうにかして無実を証明してくれ。何か聞かれたら別の任務中とでも言っておいて。」
「りょっす。じゃあウチもう帰っていいっすかね。」
「淡白だな。犯罪者としか話せない身なんだから面会くらい時間一杯してくれよ。」
「ウチもあんたも犯罪者でしょ。そんじゃっす。」
そうして千鳥は帰っていった。
…しかし裁判前日、血相を変えて再びやってきた。
「由一さん、やばいっす。有罪になったら『天国刑務所』にぶち込まれるかもしれないらしいっす。」
「天国刑務所?」
「この業界にいるのに知らないんすか?なんでも5年前の例の事件後に造られた刑務所らしいんす。辺境の地にあって、所在地も非公開。刑務官もやばいやつばっかだから同じ年数喰らっても普通の刑務所より厳罰受けてるようなもんって言われてるんす。だから凶悪犯とか、再犯率が高い犯罪者が送り込まれるんす。」
「いや待て。お前、本当に伝えるべきところはそこか?」
「流石由一さん。気付いんたんすね。そうす。所在もわからない辺境の刑務所なんで、面会ができないっす。」
「じゃあ奴との連絡も、弁護士との連絡もできないってことか?」
「そうす。無実の証拠を見つけるにしたって、由一さんから話も聞けないんじゃ難しいっす。」
そこまで話したところで面会時間が終わった。
そして11月29日、判決の時を迎えた。
「被告人、白羽 由一を懲役5年に処す。明日には福川刑務所、通称『天国刑務所』へ連行するように。」
俺は千鳥の言うように天国刑務所へ連れて行かれるようだ。
そして連行の日。目隠しをして飛行機に乗せられた。多分小型だ。道中1箇所経由して大体8〜9時間ほどのフライトだったと思う。
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