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空を舞う真尋に標的を変えた怨霊は束縛術を破り襲いかかろうとする。
それを寸前でかわした真尋は指示された森へ飛んだ。
と言うか笛を吹いた者を呪うのではなかったのか?
持っている方に来るなんて聞いていないと疑問が浮かぶが今はそれどころではない。
凄い勢いで追い掛けて来ており、真尋も必死で森へと逃げる。
森の開けた場所へ降りると怨霊は好機とばかりに襲い掛かってくる。
利音が来るまで仕方ないので応戦する事にした。
怨霊の手が届く寸前でシャリンと言う音と共に怨霊の攻撃を錫杖で受け止めた。
怨霊を弾き飛ばすと錫杖を振り回し反撃する。
そして相手と少し距離が出来た所で錫杖をトンと地面に突いた。
「焼き払え、炎舞」
そう唱えると真尋の立つ場所から包み込むように炎が現れた円を描くように周りを回りだすと蛇のように長くなり、怨霊を攻撃する。
「アアアぁぁぁ」
悲鳴を上げ苦しみだす怨霊を抑え込む。
「天狗火か……」
「……!?」
漸く追い付いた利音の声が後ろから聞こえ振り返ると、そこには人ひとり乗れるくらいに巨大化した先程の犬神に利音が騎乗していた。
「遅いですよ!!
てかなんで笛を吹いた利音さんじゃなくて俺を襲ってくるんですか?」
「まぁ多分、俺に憑けなかったから笛を持つ君にターゲットを変えたのかな?」
あっけらかんと話す彼になんかいいように使われてる気がすると穿った見方をしてしまいモヤモヤしていると、怨霊は炎を吹き飛ばしてしまった。
「あっ……」
「こらこら集中しなさいよ」
「いや誰のせいだと思ってるんですか……」
そもそもこうなったのも利音のせいだ。
何故自分が怨霊を祓わなければいけないのか納得いかない。
ふと真尋は思った。
「はい、これ返しますんで利音さんやってください」
そう言って笛を利音へと返した。
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