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利音は犬神の顔に触れ、こう提案を出す。
「飼い主は俺だけど、自由に触れあえばいいよ。
家の中で放し飼いにしとくから」
元々閉じ込めておくのも面倒だったので初めからそうするつもりだったが、真尋が嬉しそうに犬神とじゃれ始めたのでこれ以上言葉を付け加えることはしなかった。
「利音さん、このわんこ名前あるんですか?」
巨大化した犬神に跨り顔を埋めながらそう聞いた。
「いや、まだ。
面倒だから君、決めていいよ」
「じゃあネコで‼」
「なんでだよ」
即答でネコと名前を決めた真尋に利音はすかさずツッコミを入れた。
なぜネコなのか、この犬神にネコの要素があったのか彼のネーミングセンスに疑問が尽きない。
「ん~なんかネコって付ければネコとも戯れてる感じがするじゃないですか。
犬も猫も好きなんで一石二鳥かと……」
理解不能な謎の理論を持ち出す彼の思考はやはりズレている。
「まぁ、意味不明だけどその微妙なネーミングセンスは結構好きだ。
採用」
「やった‼」
それでも真尋のセンスを受け入れる利音もまたズレている為、ある意味この二人は馬が合うと言えよう。
早速ネコと名前を呼ぶ真尋を見て利音は呟いた。
「本当はもっと天狗の能力を見るつもりだったのに……
なんっか、調子狂う……」
以前から真尋の能力が見てみたかった。
なので今回の怨霊を利用して彼と対峙させてみたが、天狗火は見れた。
だがその後結局流されて利音が祓うこととなってしまった。
挙げ句犬神がほしいと言う始末だ。
ペースを乱される居心地の悪さを持ちつつも、そんな彼を面白いと思ってしまうのであった。
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