緋色の罪

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 折角飾っておくのに丁度いい物が手に入ったのでこのまま壺の付喪神を置いておきたい利音は口を開いた。 「ネコ、うるさいよ」  ぴしゃりとそう言われネコはピタッと黙ってしまった。  あれだけ吠えて黙る気配がなかったのに、主人に命令されれば不服であろうが言うことを聞かざるを得ない。  現にネコは叱られてしゅんとしてしまっているが、まだ壺を睨んでいる。  そして叱られたネコを見て壺はニヤニヤと笑って、してやったと言うような表情を見せつけている。  性格は結構悪いようだ。 「可哀想に。 御主人様は酷いね。 ネコは怪しいものを警戒してただけなのにね。 おいで、お前は悪くないよ」  しゅんとしてしまったネコを真尋は撫でて慰める。  よしよしと言いながら撫でているとネコはすっかりご機嫌になったようで寝転がって腹を見せている。 「よくもまぁ懐いちゃって……」  いくら可愛がろうと所詮は犬神。  普通は飼い主であろうと憑きはしても懐きはしない。   人に対しての怨念が深いものだから、隙を見せれば喰われてしまう事だってあるのに、真尋には尻尾を振って腹まで見せている。 「…………」  自分の犬なのに取られてしまったようで少々不満である。 「真尋、俺ハチミツ買ってくる」 「え、今からですか?」 「そう」  これから開店の準備をすると言うのにこの人は何を考えているのか……  唖然とする真尋を他所に利音はスマホと財布を持って家を出てしまった。  よっぽど犬神が真尋に懐いているのが気に食わなかったのか、或いはハチミツを買ってこなかったのを怒っているのかは定かでは無いが、ご機嫌ななめになってしまったのは確かなようだ。
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