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その後も父と会話をしていたが、まだ体調は優れないようで疲れたような顔になっていたので、そろそろ帰ると真尋が言うと、泊まっていけばと言われたが断った。
「父さん俺がいたら休まらないでしょ?
またすぐ来るからさ」
そう言うと、父はああと短く返事をした。
そして母が駅まで送ると言うので一緒に家を出る。
「別に送って貰わなくて良かったのに」
「いいじゃない。
滅多に会わない息子と色々話したいもん」
中々会う機会が無いので、出来るだけ一緒にいたいと言う親の心理だ。
その道中、母がこんなことを言った。
「お義父さん、お祖父ちゃんの話で思い出したんだけど、アンタ誰かに似てると思ったら私のお父さんに似てるんだ。
アンタのもう一人のお祖父ちゃんね」
「お祖父ちゃん……?」
つまりは秋人の一人息子でもある。
しかし彼から息子の話は聞いたことがなかった。
以前秋人の父親について聞いたことがあったが、あまり思い出したく無いようだったから、彼の家族については聞かなかった。
「そ、でも私が2,3歳くらいの時に亡くなったらしいから写真でしか知らないんだけどね」
「そうなの?死因とか聞いていいの?」
「ええ、でも私も詳しく知らないの。
熊に襲われたとかなんとか……」
「熊?」
「そう聞いたけど、分からないわ」
母には兄が二人いるので、彼らなら何か知ってるかもしれないから聞いてみたら?なんて言われた。
因みに祖母は施設にいるらしいので、機会があれば祖母にも聞いてみたらいいと言われた。
「だからお母さんが働きに出て、私達はお祖母ちゃんに面倒見て貰ってたからお祖母ちゃんっ子なのよね。
お祖母ちゃんってその、秋人さんの奥さんになるのよね?
とても信じられないけど……」
初めて聞く、真尋の先祖の話し。
祖父の話しも、曾祖母の事も初めて知った。
「そのお祖母ちゃんってどんな人?」
秋人さんが妻に選んだ人がどんな人だったのか知りたい。
「とても明るくて活気があるお祖母ちゃんだったわ。
料理やら何やら全部お祖母ちゃんに教わった。
特に私は末っ子で女の子だったから余計に可愛がられて」
曾祖母の話をする母は笑っていた。
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