海の魔物(壱)

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 ボール遊びをした後は花田が貝殻拾いを始めたので、真尋と三村も何か面白い物は落ちてないかと探し始める。 「あ、シーグラス発見」  砂浜に青い物を見つけ拾う真尋。  ガラスの破片が海の荒波で丸く削られ、宝石のようになったシーグラスを見つけると花田と三村が覗き込んでくる。 「わぁ綺麗」  花田がキラキラした目で見てくるので、いる?と聞くといいの?と返して来るので、いいよと彼女にあげる。 「ありがとう。 大切にする」  普段妖怪の事ばかりの花田だが、嬉しそうにシーグラスを見つめる彼女を見て、こう言う物にも興味あるんだなと、意外な発見をしたと思う。 「僕も探そう」  三村も実は欲しかったようで、花田を羨ましそうに砂浜を探し始める。  そんな二人を見ていた真尋は彼らの向こうにとある人物が視界に入った。 「あれ、栗郷さん?」  一瞬人違いかと思ったが、真尋の目に映ったのは間違いなく栗郷の姿だった。  すると向こうも真尋に気付いてこちらへやって来る。 「栗郷さんも来てたんですか!?」  彼も海に遊びに来たと思った真尋はそう訊ねる。 「も、って何だよ? 俺は仕事で来たんだ。 お前こそ何でここに?」 「ああ何だ仕事…… ……って仕事?」  仕事と言えば彼の手には妖刀が握られているので天明道の仕事しか思い付かない。   もしかして先程三村と花田が話していた事と関係があるのではと不安になる。  しかし現在真尋の友人がいるので栗郷は言葉を濁した。 「えっと彼は大学の……?」  三村が真尋に目をやる。  彼らは一度学食いた時に栗郷が真尋を呼び出しに来たので面識は無いことはない。 「4年の栗郷蓮だ」 「み、三村直樹です。1年です」 「同じく、花田優美です」  先輩に対し、丁寧に挨拶をする。  栗郷はよく眉間に皺を寄せているので少々強面なので、二人とも緊張している。 「どうも、お前らは普通に遊びにって訳か?」 「はい、まぁ……」 「それと人食い妖怪の事を調べに」 「え?」  真尋の言葉に三村がそう付け足し、真尋は三村を二度見してしまう。  流石にその人食い妖怪を調べに来たなんて聞いてない。  するとそれを聞いた栗郷は眉間に皺を寄せる。
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