海の魔物(壱)

3/14

320人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
 人食い妖怪と言う言葉を三村から聞いた栗郷は、それに反応した。 「………お前らヨウサーの奴か?」 「はい、そうです」  栗郷の質問に二人は頷くのに対し、真尋は首を傾げた。 「ヨウサー……?」 「妖怪サークルの略」 「ああ………」  真尋の通う大学のサークルに妖怪サークルと言う物がある。  真尋も誘われたが興味ないので、バイトが忙しいからと断った。 「てか栗郷さんよく知ってますね。 妖怪サークルをヨウサーなんて言うの初めて知りました」 「まぁ俺もそのサークル入ってるしな」 「え!?」  衝撃的な一言に一同驚く。  何よりびっくりなのは同じサークル所属なのに三村と花田が知らない事だ。  すると栗郷はこう説明する。 「俺は幽霊部員だから知らなくて当然だろう。 最近は仕事が増えて顔も出してねぇし」 「仕事?」  そう聞く三村に栗郷は神社の仕事と答えた。 「ウチは神社だからな」 「そうなんですか? じゃあ将来は神主さんになるんですか!?」  三村と花田は興味津々に聞いている。  妖怪好きとしては神様の事も気になるらしい。  確かに日本の神様と妖は紙一重の存在だと思う。  時として妖である鬼や天狗も、神様として祀る事もある。  そして色々と質問を投げ掛ける二人の後輩に対して、栗郷は丁寧に答える。 「神主……まぁそうだな。 その為にウチの大学入ったしな」 「??」  その為に真尋達が通う大学に入ったとはどう言う事なのかと三人とも首を傾げた。 「ウチの大学、神職になるための神道科があんだよ。 んで、神職の資格を得る」 「へぇ~」  神職になるにはその資格が必要なので、栗郷は数少ないその資格を取れる今通っている大学に入ったのだ。  将来的には母の跡を継いで、宮司になるつもりだ。  と言うか、栗郷家の跡継ぎは彼しかいないので、必然的に宮司になる事を義務付けられていると言うべきだろう。  暫く三村と花田は栗郷に妖怪の事も含め、色々と質問をしていた。  その後は仕事があると言う栗郷が去り、また三人で遊び、近場のファストフード店で食事を取った。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

320人が本棚に入れています
本棚に追加