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「お前、サークル入ってねぇんだろ?」
「入って無いですけど……」
栗郷にそう聞かれ正直に入って無いと答えるが何故だろう?
嫌な予感しかしない。
「お前、ヨウサー入れ」
「嫌です!!」
嫌な予感は的中した。
興味もない、面倒くさそうなサークルに何故わざわざ入らなければならないのか……
妖怪サークルに入ることを拒んだ真尋に栗郷はこう脅した。
「いいのか?お前のお友達が危険な事に巻き込まれるかもしれねぇぞ?」
「………その手には乗りませんよ。
三村も花田も無理な事はしません」
二人とも妖怪は好きだが、無茶な事はしないタイプだ。
今回も噂の人食い妖怪に興味は持っているが、夜まで待って真相を確かめてみようなんて事は言わない辺りは安心していられる。
「……じゃあ他のヨウサーの奴らがどうなってもいいと?」
「そんなんで俺が靡くと思ってるんですか?
知りませんよ。自業自得じゃないですか。
それにそれこそ天明道の管轄じゃないんですか?
俺はただの関係ない一般人です」
自分には関係ないと、にべもない事を言う真尋に栗郷は一瞬目を丸くした後、眉間の皺が濃くなった。
「お前案外ドライな奴だな。
もっと人情ある奴かと思ってた」
どちらかと言うと人の為に動くようなタイプなので、素っ気ない真尋に少々面を食らう。
「……別に、少しでも関わった人なら情は湧くと思いますが、現時点で一切関わりないですからね。
なので今後面倒な事になりたくないので、関わらないようにしたいと」
関わらなければ情が移らずに済む。
平穏に過ごしたいので、なるべく面倒な事は避けたいと思っている。
「お前………ズルい奴だな」
「堅実と言って下さい!!」
「堅実の意味分かってっか?」
そんなやり取りをした後、栗郷はこんなことを言い出した。
「ま、ヨウサーはいいとして、今夜時間あるか?」
「はい?」
まさか栗郷が誘って来るとは、何か企んでいるのか……
はたまた別の何かがあるのか……
「まさか食事でも誘って親睦を深めて言うことを聞かせようって魂胆ですか?」
「お前ってホント……
まぁ、あながち間違ってもねぇか……」
意外にもそれに近いらしく、今すぐにでも拒否して帰りたいと思うが、その内容も少々気になる。
そしてその先を栗郷が話し始める。
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