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報酬が少ないと文句を言う真尋に栗郷は立てた指を3本から5本に増やす。
「………じゃあ5割でどうだ?」
苦い顔をしながらもそう譲歩したプライドの高い栗郷。
本当ならふざけるなと言いたい所だが、ここはぐっと堪える。
しかし、真尋はそのプライドを更にへし折ってくる。
「6割で」
「テメェふざけんなよ!?
巻き込んで悪いと思って下手に出てやったのによ!!」
報酬の6割と言う条件を逆に提示された栗郷。
彼に主導権を握られながらも分かったと、ここは先輩らしく譲ったが流石にキレた。
整った顔立ちの栗郷だが少々強面であるので、怒ると余計に怖いが真尋は平然とこんなことをいい放つ。
「あ~でもなんかこう言うのもなんですけど、如何にも金で動きま~すみたいでなんかなぁ」
「お~い、今までの会話はなんだったんだ?」
「ブランド物の何かでどうですか?」
「テメェは喧嘩した後の彼女か!?」
ツッコミを入れる栗郷。
まるでコントだ。
「え、栗郷さん彼女さんと喧嘩した後ブランド物を買って仲直りしてるんですか?」
「してねぇよ!!」
「あんま怒ると彼女さんに愛想尽かされますよ」
「知るか!!つか彼女いねぇし!!」
彼女はいないと言うとはっとした表情になる真尋は同情的な目を向け、その後に御愁傷様と言うように目を伏せながら手を合わせた。
その一連の仕草に栗郷は一発殴ってやろうかなんて思ってしまった。
「俺はお前と付き合う奴に同情するぜ。
相当振り回されてんだろうな」
そう皮肉を言うが、真尋から返ってきた言葉は思っていたものと違った。
「え、俺もフリーですよ。
誰とも付き合ってません」
「………って、人の事言えねぇじゃねぇかよ!!
何なんだよお前は!!」
「俺なんも言ってませんけど」
ただ彼に手を合わせたたけだ。
何も言葉にしていない。
そんな屁理屈に栗郷ははぁ~っと大きな溜め息を付く。
もう一々彼の言動に付き合っていたら身が持たないとこの話題を打ち切った。
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