海の魔物(壱)

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 人を襲う人魚の話しを聞いた利音はふと疑問を抱く。 「その知人って妖が見える人?」  人魚のようなものを見たと言い、尚且つ如月に相談した。  すると如月は頷いた。 「ええ、彼は妖が見える人です。 ですが、祓い屋程の力は持っておりません。 ですから命の危険があるような時はこの寺で匿っています」  今回も匿っていたが、彼も仕事があるので今は不在なのだと言う。  本当は彼がいる時に話しをしたかったが、もしかしたら命の危機が迫っているかもしれないと思い、一刻も早く利音に相談したかった。  話しを聞いた利音はテーブルに乗せた右腕の人差し指でコツコツとテーブルを突いて、何かを考える素振りを見せる。 「人魚ねぇ…… 美味しいって聞くよねぇ………」 「利音殿?」  一体何を考えているのか……  緋葉はまた何か良からぬ事を考えているのではと勘繰る。  利音は如月にその人魚について調べてみると言い、場所を聞き出すと寺を後にした。  緋葉は寺から少し離れた所で利音に何を考えているのかと問う。 「いや、もし人魚だとして、それを取っ捕まえて陽炎で売り捌けばそれなりに金にならない?」 「………正気か?」  人魚の肉は美味だと妖の中でも人気の食材と聞いている。  ならばそれを売れば良い値段が付くのではと利音は考えた。 「いいじゃん。 金はいくらあっても足りない。 なら陽炎でも商売すればいい」  経営者となり、金の大切さは身に染みて実感している。  それは実家に居れば決して分からなかった事だし、現在それを経験出来ているのは幸運でもある。  恵まれているとは言えない経営環境だが、好きな事を出来ているので充実した日々である。   それでもやはり真尋と言うバイトを雇ったので、遣り繰りは大変である。  なので人魚を捕まえて陽炎に持っていけばと考えている。 「さて、行こうか緋葉」 「……………」  こうなっては行かないと言う選択肢は無いと、緋葉は腹を括る。 「って言うか目的の海って………」  人魚が目撃された海の場所を先程如月から聞いて、今あることを思い出した。
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