海の魔物(弐)

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「て言うか………」  真尋と栗郷を見て利音がジトッと目を細めた。  二人は首を傾げるが、どうしても言いたい。 「着替えあんの?」  そう、二人は直前まで海ではしゃいで全身濡れているのだ。  乾いたら潮でカピカピになりそうだが、真尋はタオルを持っているものの生憎二人とも着替えは持っていない。    仕方がないので近くの店で服を買い、海水浴場に設置されてある簡易シャワーで身体を洗い、スッキリしたところで彼らは近くのファミレスで今後の計画を立てる。 「あ~俺さっき食べちゃったからなぁ…… でもまぁパスタくらいなら入るかな?」  真尋は先程三村と花田と食事をしてしまったのであまり腹は減ってないが、美味しそうな匂いを嗅ぐと、目が欲しがってしまう。  なので皆と一緒に真尋もパスタを注文した。  食事を待つ間、栗郷と利音が互いに聞いた話しを提供する。 「じゃあ人を喰らったのは本当ってことか………」  利音は人が襲われたのは知っていたが、それが複数人と言うことは知らなかったので、思ったよりも面倒な事になったと感じた。  それにとある違和感も覚える。 「人魚がそんなに人を喰らうのか?」  自分が聞いたのは人魚と言う話しだ。  しかし栗郷の話しを聞くと、どうも違和感が拭えないのだ。 「もしかしたら人魚じゃねぇかも」  栗郷がそう呟いて一同がピクリと反応した。  薄々感じていたが、どうも人魚の仕業のように思えないのだ。  では、海の妖の正体とは………  それを考えている最中、真尋のスマホが鳴った。 「……花田から電話だ。 すみません、ちょっと出てきます」  花田からの着信に、真尋は席を立って外に出た。  その間に電話が鳴り止んでしまったので、折り返し電話を掛けた。 「あ、もしもし花田? どうかしたの?」 『ううん、ごめん。 大した事じゃ無いんだけど、三村君とは会えたかなって?』 「え?三村……?」  三村は確か花田と一緒に帰った筈。  なのにどうして真尋と会えたかなんて聞くのだろうと疑問を感じて沈黙していると、花田が説明してくれた。 『私たち一緒に途中まで帰ってたんだけど、三村君がやっぱり高住君が気になるからってそっちに行ったんだけど………会ってない?』 「いや…………」  会っていない。  まさか自分の所に来ようとしていたなんて寝耳に水だ。  
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