海の魔物(弐)

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 花田とはここで一旦電話を切って、真尋を追い掛けて来ようとしていた三村に掛けてみるが、出ない。  もう一度掛けてみるが、結果は同じだった。  自分を追い掛けて来たならば自分に電話が掛かってきてもいい筈なのに、彼からの着信やメッセージすらも無い。  その事に強烈な不安を抱いた。  どうしようと不安の中、真尋は利音達の元へ戻り、事情を説明した。 「俺探してきます」 「待て、俺も行く」  焦る真尋に栗郷は自分も一緒に探すと言ってくれた。 「元はと言えば、俺がお前を連れ出したせいだ。俺も探す」  二人が行くならばと利音と緋葉も食事もそこそこに席を立った。  中途半端にしか食べて無いので申し訳なくてすみませんと謝ると、君のせいじゃないと利音が淡々とした表情で答えた。  そして店を後にして、三村を手分けして探してみるが見当たらない。  ネコが三村を知っていたら臭いで追えたのだろうが、生憎知らないし、彼の臭いがついた物も持っていないので不可能だ。  真尋は何度も電話を掛けてみるが繋がらず、焦りと不安が増していく。  まさか事件にでも巻き込まれたのではと最悪の事態が頭をよぎる。  何せこの海岸で妖による人の被害が出ている。  もし、なんて事をどうしても考えてしまうのだ。  そうして探している間に辺りは暗くなって人も少なくなっていった。  一旦利音達と合流しようとスマホを操作していると誰かに声を掛けられた。 「お前さっきの半妖か?」  声のした方へ目を向けると、そこには栗郷と共に来た天明道の菅原と志田がいた。 「栗郷は?」 「……今、俺のツレを探してもらってるところです。 見ませんでしたか? 俺と一緒にいた男の、眼鏡掛けた人」 「知らねぇな」  菅原は素っ気なく返し、真尋をまるで品定めするように全身を見て来て、あまり気分は良くない。  一方の志田は気まずそうに菅原から一歩引いた所に立っていて、何かあっても二人の間に入る気は無さそうだなと感じる。  なのでさっさと彼らから離れたいと思うも、菅原は絡んでくる。
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