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「お前__」
菅原が何か言い掛けて止めた。
理由は菅原は真尋の後方に誰かがやって来たから。
菅原が見つめる方を真尋も見てみると、そこには探していた人物がそこにいた。
「み、むら………!?」
真尋はその人物の方へ駆け寄ると、間違いなく探していた三村その人だ。
「おい三村っ!!
お前何してるんだよ!!探したんだぞ!!
電話も出ないし……」
「高住。ごめん、スマホ無くしちゃって」
「えっ!?」
スマホと真尋、両方を探していたのだと、三村はごめんと謝罪した。
本当に人騒がせだと真尋は怒るも、無事で良かったと言う安堵の方が勝る。
取り敢えず見付かったと、栗郷と利音に連絡し、三村には今すぐ家に帰って貰うようにと栗郷から言われる。
スマホを無くしたと言う三村だが、近くの交番に紛失届を出して帰るようアドバイスする。
「ごめんね。かえって迷惑になったね。
………ところで彼らは?」
三村の視線の先には菅原と志田がいる。
「あ~あの人達は栗郷さんの仕事仲間らしい」
「仕事……神社の?」
「う~ん、まぁそんな感じ?」
流石に妖祓いの人とは言えず、曖昧に答えて誤魔化した。
三村は納得したのかしてないのか、そう、と一言だけ返事をした。
真尋は三村を駅まで送り届けようと思い、行こうかと促す。
「ねぇ高住」
すると、三村に呼び止められ振り向いたその時___
「……えっ!?」
真尋の胸に衝撃が走った。
何があったんだと衝撃を受けた胸を見ると、そこには黒いナイフの柄の様な物が刺さっていた。
じわりじわりと血と痛みが広がる中、三村の顔を見ると、無表情で虚ろな目を向けていた。
まさか三村が自分を刺すなんてあり得ないと戸惑いながら、真尋の体は地面に倒れ込んだ。
そしてこの時真尋から連絡を貰った栗郷が駆け付け、真尋が刺された瞬間を目撃してしまった。
「高住__!!」
栗郷の大きな叫び声に菅原と志田が何事かと、真尋と三村の様子が変だと漸くここで気付いた。
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