340人が本棚に入れています
本棚に追加
「その大百足は利音さんが始末されたのですが、美しい庭は見るも無残な姿に。
家も一部壊れてしまいましたので、修理を………」
淡々と説明する佐倉とは反対にわなわなと怒りに震える麟太郎。
「うちを滅茶苦茶にしおって‼
元に戻すのにどれだけ掛かったと思っているっ!?」
利音が壊したせいで余計な体力を使ってしまった。
そして激怒した麟太郎が利音を勘当した、と言うのが事の真相である。
「あ~まぁでも綺麗に戻ったよね。
ビックリした」
趣味が悪い方向へと行ってしまい、家を破壊してしまったにも関わらず、悪いと思っていないようなその態度が麟太郎の逆鱗に触れてしまう。
「今すぐ出て行けー!!」
「あ、もう帰っていいの?
いいならじゃあ、バイバイ」
さっさと帰れるいい口実と言わんばかりに、父にバイバイと手を振りリビングから出て行く利音に、真尋は唖然としながらも彼の後を追い掛ける。
その後ろからは佐倉も着いてくる。
「ちょっ、いいんですか?
折角家族と話せるチャンスなのに」
「話すって何を?
父さんが出て行けって言うんだから、素直に従ってるんじゃん」
家族と話すのは面倒だと利音は言うが……
「て言うか、そもそも追い出されたの利音さんが悪いんじゃ無いですか。
家壊されたらそりゃ怒りますよ」
完全に非があるのは利音の方である。
ならばもう少し利音から歩み寄れないのだろうかと思うが、本人はここにいるのが居心地が悪いので、例え自分が悪かろうが、歩み寄るつもりはない。
すると後ろから千鶴が真尋を呼んだ。
「真尋さん、少しいいかしら?」
「俺ですか?」
「ええ、利音さんは外で待っていて。
心配なら緋葉さんもこちらにいらして」
どうやら利音では無く真尋と話したいらしい。
どうしようかと利音を見ると、外で待ってるから緋葉と行ってきてと一人玄関へ向かった。
なので緋葉と共に千鶴の後ろに着いて再びリビングへ戻る。
「すまんな。
みっともない所を見せた。
バカ息子が迷惑を掛けていないといいが」
「いえ……そんな………」
リビングへ戻ると早々麟太郎がそう謝罪するが、返事に困る。
最初のコメントを投稿しよう!